twocarsの趣味録

クロスバイク、ボードゲーム、旅行。

バイオエンジニアリング専攻の院試について

どうもどうも。twocarsです。 今回は趣味ブログで唯一にする予定の勉強系記事です。

(この文章は、バイオエンジの受験を考えている知り合いのために2018年の9月に書いた文章を、ブログで公開するにあたりわずかに追記・修正したものです。そのため文中で違和感を感じる部分があるかもしれませんが気にせずに読んでください。)

はじめに

僕は2019年度東大工学系、バイオエンジニアリング専攻を受験し、合格しました。そこで、僕自身の院試体験を踏まえ、院試前に知ってたら嬉しい情報に絞ってまとめようと思います。

対象:バイオエンジニアリング専攻の受験を少しでも考えている大学3,4年生
内容:入試対策のみ
卒業生の進路(を参考にしてください)や実際の学生生活(まだ院生ではないので…)については触れていません。
合格体験談にありがちな"〇〇時間勉強しました!"みたいなのもありません。
筆者の現所属:東大・工学部*1

基本事項はざっと済ませてすぐに本題に移っていきます。

バイオエンジニアリング専攻について

東大内での学部はなし。教授陣には学部で機械工学、精密工学、マテリアル工学、応用化学などの専攻にも所属している方も多くいらっしゃる。
例年、24名の募集に対して34名合格する。(留学生等含む) 内部倍率は1.0~1.1倍、外部倍率は1.3~1.4倍と他専攻と比べて低め。内部倍率の方が低いのは多くの工学系専攻で見られる傾向です。*2
一方で、その傾向は他専攻より小さく、内部と外部の差の少ない専攻だといえるでしょう。

バイオエンジ専攻の受験を考えれば誰しもが知ることですが、出願時に希望研究室、試験の受験科目の選択をしなければいけません。

研究室ごとの受け入れ人数が明記されていないので出願時かなり迷います。
正直、その意図はわかりませんが、好意的に解釈すれば受験者の動向で柔軟に変わっている可能性があるということになります。

当然、出願のタイミング(6月)では院試の過去問なんて見ていないので、フィーリングで選ぶことになります。
その参考になるように、各科目の特徴を少しまとめます。

参考サイト

バイオエンジニアリング専攻入試案内→入進学希望の方へ | 東京大学 大学院工学研究科 バイオエンジニアリング専攻

過去問(数学、物理、化学の問題のみ)→東京大学大学院 工学系研究科 | 大学院へ入学を希望される方 (一般入試)

過去問数学解答(有料)→東大院 工学系研究科 数学対策・解答

各科目の特徴と対策 [数学・理科]

以下に挙げる4科目から2科目を選ぶことになります。
ちなみに僕はほぼ迷わず数学物理を選択しました。
こんな事情もあって、(できるだけ避けますが)特徴に偏見が入っている可能性があります。

本文中で「普通」という言葉が何度かでますが僕の周りの狭いコミュニティにおける「普通」なので真に受けすぎないでください。(そんなに世間とずれてはないと思いますが)

1. 数学

過去問入手しやすさ◎:対策しやすさ◎:自習しやすさ○

個人によってかなり好き嫌いが分かれる科目ナンバー1。僕は数学に対して苦手意識は全くなかったので勉強しやすかったです。
工学系共通科目で、全6問構成。
1. 微分方程式
2. 線形代数(行列)
3. 複素積分
4. ベクトル解析
5. フーリエorラプラス変換
6. 確率

と幅広く出題されますが、解く問題はこのうち3問。試験時間は150分なので1問あたり50分かけられる計算になります。
実際の試験では他の問題もさわりだけ解いたりするので40分/問と行ったところでしょうか。

1~5は対策しやすいので、そこから自分が解けそうな3~4分野を勉強するのが普通。第6問(確率)は対策が難しいものの、難易度的には易~標準が大多数、稀にやや難レベル。大学受験数学みたいな問題なので得意な人にとっては拾いやすい問題です。とはいっても確率の問題は運ゲー要素が強いので1~5番で3問拾えるような勉強をすることをお勧めします。

僕の周りでは1と5を取ってる人が多かったような。行列も多かったですが僕が逆行列の計算に自信がなかったので諦めました…

過去問、解答のURLについては上記URL集参照。 解答は、非公式ですがかなり詳しいので、数学を選択するなら購入して損はないと思います。
院試の勉強の際に一番困るのが自分の答えが合ってるか分からないこと。これが解消されるのはかなり助かります。

2. 物理

過去問入手しやすさ◎:対策しやすさ◎:自習しやすさ○

大問4つ構成で2問選択。試験時間は120分なので1問あたりの時間は数学より長くとれます。
1. 力学
2. 電磁気学
3. 熱力学
4. 波動

力学はnot材料力学。慣性モーメントは頻出。
電磁気コンデンサーとか交流回路が頻出。マクスウェル方程式は近年出題されていません。
熱力学カルノーサイクル周りの計算が出ます。マクスウェルの関係式は超頻出。
波動量子力学っぽいのとか光の回折とかなんでも出ます。

こちらも大学受験物理みたいな問題。好みな分野を選択すればいいと思います。

僕は1と3に絞って本番で4が解きやすそうなら選択しよう、という感じで勉強を進めました。
力学は王道の問題が多いがどうしても複雑になりがちで序盤で詰まると辛い。
熱力学はかなり勉強しやすく、完答も狙えるのでオススメ。
電磁気はひねった問題が多い印象だが難しすぎることはなさそう。
4はただの計算問題の年があったり不明。

過去問は数学同様公式から得られますが、解答なし。
もしご連絡いただいた時点で残っていれば2016~18年度の物理の一部の解答をお見せできるかも。

僕はバイオエンジを物理で受ける同期とともに勉強会を開き、オリジナルの解答を作って勉強しました。(内部生はこういうのができるのもかなりの強み)

3. 化学

過去問入手しやすさ◎:対策しやすさ○:自習しやすさ○

量子化学、電気化学、無機化学有機化学と幅広く出題され、7問中4問を選択。
勉強していないのでなんとも言えないですが、いわゆる「化学系」学科にいる人には解きやすいと聞きます。
逆にそうでない人にとっては厳しいかも。
僕は有機化学を少し勉強しましたが、反応の種類は多いしゼロから始めて院試レベルまで持っていくのは難しいと判断し、選択しませんでした。

過去問は公式から得られますが、解答なし。

4. 生命科学

過去問入手しやすさ○:対策しやすさ○:自習しやすさ◎

こちらも勉強していませんが、教科書が1冊あってほぼそこから出ると聞きます。

生命科学っぽい講義を受けていれば馴染みやすいかもしれませんが僕は全く受けていなかったのでパス。
ある意味自習しやすい。

過去問は東大のキャンパス内で販売or東大から郵送(有料)なのでやや面倒だが入手可能。解答なし。

各科目の特徴と対策 [その他]

バイオエンジの入試科目は上の他に英語、専門科目、面接があります。

英語

過去問入手しやすさ×(非公開):対策しやすさ◎:自習しやすさ◎

TOEFL iBT公式スコアを提出しなかった受験者は全員TOEFL ITPを受験。
一説では公式スコアからの換算が不利と言われるが真偽は不明。
そんなに差がつかないとも言われているので、8月の勉強の負担を減らす(数理にかける時間を増やす)為に公式スコアを使うのは全然ありだと思います。

ITPはリスニング、文法、長文の3本立て。定番の対策問題集がある。
例年、院試1日目の午前中に行われる。

僕は英語が苦手だったにもかかわらず(苦手だったからこそ?)、差がつきづらいという噂を信じて、正直手を抜きました。 文法は問題集を1周、それ以外は使いませんでした。
一応、リスニングと長文の問題集も手元にあったので、前日に1回分解きました。

問題集は、「全問正解するTOEFL-ITP-TEST文法問題対策」という本です。

僕自身の英語の実力は、4年前にセンター試験が170点で、その後ほぼ英語の勉強をやっていない、というレベルです(参考になるかな...)

以下、僕の感想。
リスニング: 序盤は8,9割取れるぐらい簡単だが35分聞きっぱなしなので集中力が切れると死亡。後半は標準~難だが、何にせよ集中力との戦い。音声は1回しか流れないので注意。わからなかった問題については諦めが肝心。
文法: センター試験レベル。そこまで難しくはないものの、迷い始めると無限に時間がかかる。前半が空欄補充の4択、後半は間違っているところを指摘する4択。スラスラ解いても時間きつい。
長文: 55分で5つの長文、50問。テーマに専門性を含んでいたりして、単語レベルが高い文章もあり、問題もまあまあむずい。(逆に知ってるテーマだと楽勝なことも。) 急いで読む必要がある。

全体的にスピーディーさも求められる試験となっています。

専門科目

過去問入手しやすさ○:対策しやすさ×:自習しやすさ×

過去問は生命科学と同様、東大キャンパス内で購入か郵送で購入。
6つの大問から1問選択、試験時間は60分。
毎年分野もバラバラで正直対策不可能。出たとこ勝負。
院試3日目の午前に行われ、最後の筆記試験となる。

勉強したのは試験前日のみ。対策のしようがないので、差がつきづらいと予想し、逆に差をつけられることのないようにすることを意識しました。
ここ2年分の過去問を見た感じ、マイクロ流路系の問題が出ていたので、レイノルズ数とかを軽く復習しました。*3

面接

面接はほぼ全員3日目の午後で、面接が終われば院試は終了。2会場に分けて1人ずつなのでかなり時間がかかり、人によっては面接の時間が21時近くになることもあるので注意が必要。

「1人15分。自分の今行なっている研究や院でやりたいことを5分でプレゼン(スライド使用)。そのあとそれの質問など。」と言われています。

実際の面接の様子を紹介します![この記事中で一番有用な部分がここになります]
圧迫感はほぼなく、バラバラに座っている教授5,6人程度の前で発表。発表後数問質問され、その後専門科目について質問。
午前中に行われた専門科目で何番を選んだかを聞かれそれについての質問が飛んできます。
答えられるかは運次第。

対策としては、しっかりを資料(スライド)を作って、口頭発表部分を難なくこなせるようにしっかりと練習する、ぐらいでしょうか。

実際の試験について

目標点数

合格点や各科目の比重などは完全非公開なので、あくまで目標。
全体で6~7割を目標に、
英5割、数8割、物7割、専5割(全く読めないが)
を目標に据えました。これは完全に理系科目得意パターンであり、人によって大きく異なるはずで、特に英語は高い目標を持っていいと思います。

2019年度入試の手応えと感想

1日目AM:英語

思ったよりできた。読解がかなり読みやすく、なんなら時間が余るぐらいだった。とはいえ自分の英語力が信用できないのは自分が一番分かっているので結局モヤモヤ。

1日目PM:数学

第1問:普段は解けていた広いどころと思っていた微分方程式ができずに焦る。
第5問:昼休みに友人と確認したところが出てびっくり!
複雑そうな数式が問題文に並んでいたので不安だったが実は丁寧な誘導だった。途中の1問とラストの問題以外はおそらく正解している。
第6問:簡単だった。(実は翌日にこの問題についてミスしたことに気づく)
結局微分方程式に時間いっぱい吸い取られ時間は足りず。
不完全燃焼だが全体7.5割ぐらいで悪くはないかなという感触。(実際は6番もあって7割弱ぐらいかと。)

1日目夜と2日目朝:物理の確認
過去問の自作解答をパラパラと見ながら物理脳にしていく。

2日目PM:物理

力学は過去問に似た形があり、解いていたのでそれを思い出しながら。(心の中でめっちゃ喜ぶ)
しかし完全には理解できていなかったのでもっとしっかり復習すればよかったとやや後悔。なんとか最後まで解き切る。
熱力学は過去最高に簡単だった。 電磁気は見た感じ難しそうだった記憶が。 第4問は解きやすそうだったので力学で詰まったら選択しようとしていた気がします。

これは過去5年ぐらいで1番簡単で、満点がいるなあと確信。僕もかなり8,9割取れた気がして満足。

2日目夜:
ツイッターなどで生命科学が難しかったらしいという情報を目にして、やや喜ぶ(性格がわるい)
専門科目の勉強はしようがないので少ししか触れず、面接のプレゼンと予想質問を考えたりしました。(とは言っても1時間もしていない)
他専攻は2日目で試験が終わることがあるのでそんな友人を羨んでました笑

3日目AM:専門科目

案の定全然できない。完答できそうな問題が全くなかったので、半分は確実に解けると判断した光の問題を選択。
前半のホイヘンスの原理に関する問題をしっかりと答えたことに満足し、後半のフーリエ逆変換とモノクロ画像に関する問題は適当に思ったことを書いて解答用紙を埋めました。*4

3日目PM:面接

様子は何も知らず、てっきり教授がたくさんいるのを想像していたので会場に入ったら逆に少し落ち着いた。淡々とプレゼンと質疑応答をこなしたら、唐突に、
教授「午前中に専門科目はなんの問題を解きましたか?」
(は?)と思いました。「光の問題を選びました。」と答えたら、なんと、
教授「後半にフーリエ変換の問題があったと思うけど、〜〜〜」
なんと適当に埋めただけの部分について深く聞かれてしまったのです。*5 当然ながら一切知識もなかったので何も答えられずひたすらテンパりました。

気づけば15分が経過し面接終了。最悪。

これで1週間の結果待ちに入るのはなかなかにしんどかったです。

終わりが最悪でしたが、落ち着いて考え、面接の比重が激重でなければ受かったかな、という感触でした。

結果

合格し、第1希望の研究室への配属も決まりました。点数などは来年度以降にわかるということです。
正直なところ、嬉しいよりも「ほっとした」の方が強かったです。8~9割受かる試験というのは別の意味で緊張しました。

おわりに

院試が終わってから1ヶ月ほど経ち、今院試受けたら受かるか不安ですが(笑)、思い出す限りでまとめて見ました。参考になっていれば幸いです。聞きたい点などありましたらご連絡いただければと思います。(コメントかtwitterまで)

本編に書かなかったこととしては、しっかりと第1希望の研究室ぐらいは先生にコンタクトとって研究室見学をすることが大事だと思います。
先生は試験の直接的な内容は当然教えてくれませんが、先輩を紹介してくれたり、その研究室が何人ぐらいM1を受け入れようとしているのか教えてくれるかもしれません。

初めにも書きましたが、バイオエンジニアリング専攻は東大に学部が存在しないこともあって外部からの受験しやすい専攻だと思います。実際、バイオエンジニアリング専攻は他専攻と比べて筆記試験に対する勉強はかなりしやすいです。*6 そのぶん口頭試験はやや重たいわけですが。

まだ僕自身入学すらしていませんが、この文章を読んだ方が後輩になってくれたら嬉しいな、なんて思いながら、この記事を終わります。

*1:本文で触れているように、内部生(東大生)と外部生(他大生)の差はあまりありませんが、一応、僕が内部生であることも念頭に入れて読んでいただけるといいと思います。

*2:東大の学部の授業と院試の範囲がリンクしていることがあるためと考えられる。
詳細な数字は 東京大学大学院 工学系研究科 | 大学院へ入学を希望される方 (一般入試) をご覧ください
このご時世、傾斜がついているはずはないです。

*3:実際の試験では光の問題を解いたのでこの勉強は全く活かせていない

*4:これが面接への伏線となる

*5:おそらく出題者だったのだろう、と勝手に推測している

*6:これは内部生にとっても朗報