twocarsの趣味録

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旅して乗って、遊んで弾いて、撮って書く

 

東京国立近代美術館「窓展」に行きました

1/26に国立近代美術館で開かれている「窓展」に行ってきました。

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窓をめぐるアートと建築の旅に、さあ出かけよう。 (略) わたしたちのくらしにとって窓はほんとうに身近なもの。それは光や風を室内に取り入れながら、寒さや暑さからわたしたちを守ってくれます。また、室内にいるわたしたちに外の世界の新鮮な眺めをもたらしてくれます。 (略) 美術家たちが愛し、描いた窓辺の情景や、日常生活に活かせる窓の知識などが、ジャンルを横断して会場に並びます。(略) 展示室を後にしたとき、いつもの窓がちょっと違って見える―― そんな機会になればと願っています。 (公式サイトより引用)

2/2までの開催です。

こちらの展覧会は、「窓」をテーマとして14章に分けて作品が並んでいて、最初の全体概観以外は基本的に時代順に並んでいました。

第2章「窓から眺める建築とアート」では年表が展示されていました。
この年表では、単に窓、建築関連の出来事だけでなく、日本史世界史の出来事も併記されているので感覚としてつかみやすかったです。そういえば日本の昔の建築って窓ないよな、と思ったり。

第3章「窓の20世紀美術I」からは絵画が続きます。アンリ・マティスの『窓辺の女』では、窓の前後で同じような色彩を持たせていることなど、その都度解説があるのも親切でした。印象に残ったのはエルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーの『日の当たる庭』。キャンバスの縁と窓枠がぴったり重ねられて書かれ、まるで外をのぞき込む視点をそのまま感じられるようでした。たばこの煙が奥(窓の外)に流れていくように見えたのもあり立体感を感じて不思議な感覚でした。岸田劉生の『麗子肖像』は2次元と3次元を行ったり来たりする感覚がわかっておもしろかったです。

エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーの『日の当たる庭』

第4章「窓の20世紀美術II」は抽象画が多め。マース・ロスコの『無題』やジョセフ・アルバースの『正方形賛歌』などが展示されていましたが、あんまりよくわからなかったです... キャンバスの裏を描いたロイ・リキテンシュタインの『フレームIV』が印象的でした。

第5章「窓からのぞく人I」では、正確な描写から意図的にずらすために用いられる窓という存在が紹介されました。 林田嶺一のショーウィンドーの作品は見た目がキャッチーながらショーウィンドーの中は戦時中特有のやや過激なもので驚きました。

第7章「世界の窓 西京人」からは映像作品が並びます。単調な映像で、展開があるのかもわからなく、(一部の映像は全部見ましたが)よくわかりませんでした。複数の別撮りのフィルムを繰り返し再生しながら重ねたズビグニエフ・リブチンスキの『タンゴ』(リンク)は面白かったです。映像作品、解釈難しい...

第13章「窓は希望」にある室内ラスト展示、ゲルハルト・リヒターの『8枚のガラス』は透過率の低いガラスが角度を変えて8枚立っているだけですが、周囲の様子を様々に反射して見える効果は不思議で面白かったです。

最終、第14章「窓の家 藤本壮介 《窓に住む家/窓のない家》」は屋外展示。外と三層の窓によって区切られた内側の空間は光の入り方が独特になるようですが、曇っていたのでわかりませんでした。

美術館というと基本的な知識(宗教画のアトリビュートとか印象派とか)がないと楽しみきれない印象がありますが、窓展はそのようなことはなく、誰でも理解しやすく楽しみ、考えながら見られる内容でした。リーフレット(写真右)がちょうどいいぐらいに丁寧で、見るときにとても参考になりました。

半券(左)とリーフレット(右)

全体をゆったり見て、気づけば3時間も見ていました。常設展も同じチケットで入れるので、入りましたが、すでに疲れ気味だったのでウィンドーショッピングばり(窓!)にぼんやりと見て終わりました。

今週いっぱいで終わってしまいますが、おすすめです!

2019年12月に遊んだボードゲームレビュー

新年あけましておめでとうございます。(松の内が終わるのでぎりぎりの挨拶)

やや遅くなりましたが、毎月恒例のボードゲームレビューです。 今回は2019年12月編。12月に遊んだボードゲーム10ゲームのうち、6ゲームをレビューします。

◎前回はこちら。

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◎12月のベストゲームは・・・
『Irish Gauge』

◎レビュー
遊んだ順です。"タイトル (人数、点数、ある場合はプレイヤーカラー)"で表記します。
複数枚の写真があることもありますので、気になる方はリンク(Instagram)を見てみてください。

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枯山水 (2人、5)

4年ほど前に遊んだ以来の2回目。前回の印象より若干よくなったものの、やはり淡々としすぎていて面白さがいまいちわからなかった。石の置き方に結構制限があるので、簡単な個人目標をサクッとクリアする方がラクに勝てるのかな、という印象。

枯山水

プロジェクトユニバース Project Universe (4人、7、赤)

ゲームマーケット2019秋新作の注目作品。宇宙に飛び立つ準備をして、宇宙空間に物資を届けるのが目標となる。宇宙に飛ぶ前後でゲームがガラッと変わり、さらに「海底探検」的な全員で共通して減る時間制限がいい緊張感(先読みが大事!)で面白かった。最大でも3回しか宇宙に飛び立てないのと、宇宙を回ることで達成されるセットコレクションもあり、と考えることが盛りだくさん。一方で、共通ボードは見やすくまとまっているので、遊びやすかった。1アクションの価値が重たいので、ダブルアクションカードが強いかな、と感じた。宇宙に飛び立つと資源やお金が結構カツカツになるが、宇宙に行かなくてもある程度得点がとれる親切設計。1ラウンド目か最終ラウンドは地球にとどまってしゃがむ価値があると感じた。(どうせ2回ちゃんと宇宙空間で仕事をすればセットコレクションの得点に差がつかない)

プロジェクトユニバース Project Universe (写真2枚)

グレートウェスタントレイル Great Western Trail (3人、6、赤)

難しかった!!ゲームに追い付いてアクションをこなすので精一杯で、得点行動への意識が遠のいてしまった...反省。どのゲームもそうだが、3人プレイの時、同じ戦略とった人に出遅れるとやりたいことがなんにもできないのを実感した。

グレートウエスタントレイル Great Western Trail (写真2枚)

ダイスホスピタル Dice Hospital (3人、5)

単調にパズルを続ける感覚。医師の数より患者の方が多いことがほとんどで(特に序盤)、治療しなかった患者はどんどん悪化してしまうため、1ダイスで3人の患者を治療できる病室が強いと感じた。ダイスの出目次第なので一概には言えないが、ラスト番の辛さと目の小さい患者の来る辛さのバランスが取れていないため、基本的には目の大きい患者を取る方がラクだと感じた。テーマ的にもいまいち楽しみ方がわからなかった。

ダイスホスピタル Dice Hospital (写真2枚)

ツォルキン Tzolk'in (3人、7、赤)

ボードゲーム始めたての頃遊び、訳が分からないままゲームが終わり、なんとなく苦手意識を持っていたゲームを2回目のプレイ。面白い!コーンの獲得と消費に追われながら着々とやりたいことを進めるのが楽しかった。スタートプレイヤーは安くアクションを取れる代わりに、後手番プレイヤーは多少高いがいいアクションが取れるようになる、そのインタラクションが好き。ワーカーを放置すると強いアクションにたどり着けるが、それまでの時間の過ごし方と、ワーカーを放すか回収するかのメリハリをうまく計画するのが難しく楽しかった。

ツォルキン Tzolk'in (写真2枚)

アイリッシュゲージ Irish Gauge (4人、8)

鉄道ゲームということでとても気になっていた。株のゲームはほぼ経験がなかったが、これは鉄道ゲームというより株ゲー。どちらにせよとても良い。自分の番でやれることがそう多くないので思考がシンプル。序盤走られるとややきついが、出遅れ組で結託するのもできるのがこのゲームの面白い所なのかなと思った。結構遊んだ感がでるのに1時間程度で終わるのや、デザインの綺麗さも含め、また遊びたい楽しいゲームだった。

アイリッシュ ゲージ Irish Gauge (写真2枚)


2019年はたくさんのゲームで遊べました。遊んでくださった方、ありがとうございました!

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2019年11月に遊んだボードゲームレビュー

今回は2019年11月編。11月に遊んだボードゲーム8ゲームをレビューします。

◎前回はこちら。

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◎11月のベストゲームは・・・
『センチュリー:ニューワールド』

センチュリー3部作シリーズのラスト。

◎レビュー
遊んだ順です。"タイトル (人数、点数、ある場合はプレイヤーカラー)"で表記します。
複数枚の写真があることもありますので、気になる方はリンク(Instagram)を見てみてください。

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センチュリー:ニューワールド Century: New World (3人、8)

センチュリーシリーズの最終作。個人的にはこれがベスト。スパイスロード(1作目)は初動のミスが取り返しづらいカードゲーム。イースタンワンダース(2作目)は共通ボード上でかなり厳しいインタラクションがあり面白いものの、かなり複雑なうえに視認性が悪かった。本作ニューワールドは前の2作のいいとこどりをしているようなワーカープレースメントになっている。相手がとっているアクションを取りたいときは余分なワーカーが必要になること、逆に自分のとっているアクションを相手がとるとそのワーカーが自動で帰ってくるところなど、悩みどころが複雑すぎずとても面白かった。ワーカー全回収アクションが自分にとって完全なしゃがみアクションであると同時に、次手番プレイヤーをかなりラクにしてしまうのが本当に悩ましい。自分の情報はすべて公開ながら、異常な長考になることもなく(プレイヤー依存かも)、良いゲームでした。

センチュリー: ニューワールド

(写真2枚)

エスノス Ethnos (4人、6)

カード効果がユニークで独特なエリアマジョリティ。基本はカードを集める→出す(+置ければワーカーを置く)の繰り返しなのでシンプルだが、ほしいカードが集まりづらく、思うようにゲームを展開できないのが歯がゆい。カードを出す際、余ったカードはすべて場札として出され、以降カードは場札or山札(ランダム)で引けるというのは面白かった(というよりこれがないとゲームとして成立しないのでは?)。 カード効果も簡単で分かりやすく、カードの種類もたくさんあるのでもう一回遊んでみたい。

エスノス Ethnos

ジャストフォーファン Just 4 Fun (4人、5)

エリアマジョリティ+4目並べ。2回遊んだが、淡白すぎて面白さがいまいちわからなっていない。4枚のカードで足し算の組み合わせが多数作れるところ、手番順を活かして他プレイヤーに仕事を押し付けるところなどが面白いポイントなのだろうか... ゲーム自体は足し算しか使わないのですごく単純。

ジャスト・フォー・ファン Just 4 Fun

ヤマタイ Yamatai (4人、8)

リソースマネジメント+ネットワーク構築。1手番でできることは基本的に資源獲得、建物建設1回、ボーナス受け取り1回なのだが、この時得る資源によって次の手番順が決まる仕様なのがミソで面白い。1手番1手番共通ボードが変化するので、読み合いも大事。インタラクション強めだが、勝ち筋は色々ありそうで初動うまく動ければ尖った戦略もいけそう。コンポーネントも素敵で楽しいゲームだった。邪馬台国らしさは感じられないがかなり好きです。

ヤマタイ Yamatai

(写真3枚)

王と枢機卿 Web of Power (4人、6)

エリアマジョリティ+ネットワーク構築。3人ベストといわれるが4人でも楽しかった。自分の番が回ってくるまでに盤面が変わりまくるので、3人の時よりも難しかった。油断してるとすぐにゲームが終わってしまう。ゲームは自分のやりたいことがやりきれず惨敗でした...

王と枢機卿

イオニア Pioneer (4人、6)

ネットワーク構築。基本的には自分が獲得した馬車に乗っている人を降ろすために都市を動いていくのだが、適度に相乗りをしていかないと点数がうまく取れなくなっているのがいいバランス。ただ、相乗りだけじゃなく、自手番で道を作ったりするのにもお金が必要で結構カツカツだった。初期の1アクションで走り抜けることも可能(実際、僕が3アクションにした以外3人とも1アクションだった)だが、2アクションぐらいあったほうが動きやすそう。初期の都市の配置次第でゲームの戦略は大きく変わりそう。とにかくネットワークを広げたら勝ちかと思ってたら、そうでもなく、意外と僅差な結末でした。

パイオニア Pioneer

カルバ カードゲーム Karuba: Card Game (4人、6)

ボードゲーム版の人の移動要素が消され、よりシンプルになっている。カードを2枚出し、それぞれに書かれた数字の合計が最小だと1枚配置できない、というルールが結構効いている。8ラウンド毎回ベストを尽くすのはなかなか難しいため、どこかで我慢するラウンドが必要となりそこの探り合いは楽しいが、全体を見ると要素が多くないため、序盤に良いカードが配置できるか(引けるか)、という引き運も結構大きく感じた。

カルバ カードゲーム

(写真2枚)

エコス ECOS: First Continent (4人、6)

2019Spielの新作。ビンゴ形式で、それぞれのカードのマークをすべて揃えるとカード効果が発動、繰り返して勝利点を稼いでいく。カードによってゲーム中使える回数が変わっていて、それをカードの回転によって表現するのが面白いと思った。カードはプレイヤーによって違い、特殊な効果を持つものほどテキスト(英語!)が長いので、基本的には自分のできることを効率よくする方に力を注ぐことになるし、そもそもあんまり妨害できない。全プレイヤーが同時アクションなのでダウンタイムが少ないこと、実質パスのようなアクションがなるべく内容に設計されているところは良かった。初期に選ぶ動物種によってプレイング難度に差はありそうで、特殊な種を選んでミスると結構な点差がついてしまい、中盤で遅れていると後半巻き返すのが難しい。どちらかというと最終盤のデッドヒートを制すると勝利、という感じ。共通ボードやコンポーネントは美しくわかりやすいので、カードゲーム好きとかハマる人にはハマりそう。

エコス ECOS: First Continent


2019年も残りわずか。過去の名作含めていろいろ遊べるといいな。

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映画『蜜蜂と遠雷』鑑賞後メモ

先日、久々に1人で映画を見に行きました。作品は『蜜蜂と遠雷』。ピアノコンクールを目指す4人の物語ということでかなり気になっていました。
感想部分はネタバレに配慮していないので、気にされる方はブラウザバックお願いします。

あらすじ (公式サイトより引用)

3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。 かつて天才少女と言われ、その将来を嘱望されるも、7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜は、再起をかけ、自分の音を探しに、コンクールに挑む。 そしてそこで、3人のコンテスタントと出会う。岩手の楽器店で働くかたわら、夢を諦めず、“生活者の音楽”を掲げ、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石。幼少の頃、亜夜と共にピアノを学び、いまは名門ジュリアード音楽院に在学し、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール。 そして、今は亡き“ピアノの神様”の推薦状を持ち、突如として現れた謎の少年、風間塵。国際コンクールの熾烈な戦いを通し、ライバルたちと互いに刺激し合う中で、亜夜は、かつての自分の音楽と向き合うことになる。果たして亜夜は、まだ音楽の神様に愛されているのか。そして、最後に勝つのは誰か?

感想

かなり良かった。シンプルに「ピアノ(音楽)と人」のみが描かれ、登場人物の家族は最低限のみ*1恋愛模様はほぼ無しと、「音楽っていいなあ」の気持ちが深まる良い2時間だった。個人的に「月の光(ドビュッシー)」に深い思い出があることもあり、亜夜と塵が「月の光」を弾くシーンですでに涙腺崩壊。また、シーンの切り替わりが自然で、話の展開がすっと入ってきたのも良かった。

以降、箇条書き形式で印象的/気になったポイント。

  • 馬?
    冒頭に出てきて確か最後あたりにも出てきたかな、あまりよくわからなかった。

  • コンクール出場者のつながり
    コンクール出場者ってコミュニケーションとるものなのだろうか。幼少期から才能が抜群で有名だった、とか塵のような特殊な天才型周りのみの特殊な関係性のみであんな仲良いのかなあ。

  • 木の鍵盤かっこいい
    塵が練習に用いていた木の鍵盤。当然音は出ないので弾き方と響き方がわからずに練習ってのはどうなの?と思いつつ、だからこそ生まれる、生むことができる独特な響き(実際、塵の後には調律が狂っている)はまさに天才の仕業なのだろう。そういうの関係なく木の鍵盤かっこいい。

  • 鹿賀丈史怖い(床には気づかないの?)
    いやー、鹿賀丈史怖かった。後半で、実際はただ怖いだけじゃない、奏者に音楽と向き合う機会を与える素晴らしい指揮者なんだなあ、とわかるが、にしても怖い。それにしても、超一流の指揮者なのに舞台の床が変わってる(ここまで具体的じゃなくても響きが違う、とか)ことには気づかないのだろうか。塵の超次元的な天才さを際立たせるエピソードとしては十分だが。

  • 最高の奏者を探すのは自身の嫉妬から
    嵯峨三枝子(斉藤由貴)のセリフ。三枝子もまた若い頃天才ピアニストであった。今は確固たる地位を築いているものの、若い頃思い描いたよりは低くまとまったのかもしれない。自身の音楽家としての信念を持ちながら、審査員としてピアニストの奏でる音楽性も評価しなければいけない、という苦しみが感じられ、印象に残った1シーン。

  • 塵の純朴な目
    鈴鹿央士さんの目がすごい。かわいらしい目と力強い目力って両立するんだ、と驚いた。

  • 松坂桃李やば
    松坂桃李の演技がこの映画中ずっと強い存在感を持っていた。コンクールで最上位クラスに来るほどの腕前だが、他の天才ピアニストとは異なる「庶民派ピアニスト」の言葉を100%体現していた。

  • 明石と周りの2人の女性との絶妙な距離感
    2人の女性とは、明石の妻(高島満智子/臼田あさ美)と明石の幼馴染の記者(仁科雅美/ブルゾンちえみ)。明石の日常の仕事風景や夫婦のシーンは映画ではほぼ触れられていないため詳細不明だが、妻が明石の精神的な不安定さを包み込む役割を持つ一方で、記者は個人的な感情を入れすぎずにドライに接しているのが印象的。明石が落選した直後の、声色変えない淡々としたインタビューシーン、良かった。あえて本戦出場の会見を長さず赤目で察させる演出もより気持ちが入り込めて良かった。

  • 「非エリート」視点での絶望とエリートへの尊敬
    「非エリート」とは明石。他3人は小さい頃からピアノに取り組み、音楽に生きていて自分とは違う、ということを常に意識し、自身の奏でる「生活者の音楽」を武器にしている。エリートと非エリートではっきりと明暗が分かれた最終予選後、海辺でエリート3人が足跡で曲名当てゲームをしているシーンは明石(と幼馴染記者)の絶望と尊敬をにじませるシーンは思わず涙が出た。

  • 世界に自分とピアノだけでもピアノを弾く
    天才少女としてピアノに接し、ピアノを他人のために弾く、という感覚になっていた亜夜が、塵の言葉によってピアノの本当の楽しさを思い出すシーン。「お客さんがいなくても、ピアノを弾くと思うよ?」を優しく問いかけるあの感じは、塵が独特な魅力を持っているからこそ出せていると感じた。たぶんマサルにはあの雰囲気はつくれない。

  • 「世界が鳴ってる」
    これも塵のセンス溢れる言葉として印象に残った。「鳴る」とは自身の演奏に対する観客や恩師の喝采だけでなく、世界中どこかで常に存在する誰かの音楽、も含まれると考えた。

  • エピローグ気になる!
    本作の、最終結果をドンと出して終わって、直後は もう終わり? という感じになった。その後の登場人物の感情を受け手に想像させる演出は良い余韻で良かったが、別で演奏会後の描写も見てみたくなった。


やっぱり最上位レベルでは幼少期からの経験、環境、センスには勝てないのかもしれないという現実を突きつけられながらも、純粋に音楽と人物の関係の描写が続いている素敵な映画でした。かなり頑張って2時間に収めただろうと思うので、原作も読みます!

☆はじめましての方、いつも見てくださってる方、よろしくお願いします!コメントもお待ちしております!

*1:亜夜の母親と明石の妻は彼女/彼の音楽ルーツはに欠かせないので出てくる

伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』読後メモ

久々に本を読みました。内容を忘れないよう、メモしておきます。
ネタバレもがっつりしているので、気にする方は回れ右推奨です。


気になったところを箇条書き。

  • 荻島でおきた様々な事件がすべてつながる瞬間の爽快さ

  • 鳥のために人を殺す:人間優位への疑問

  • 確かに、人が死ぬ瞬間にモノクロの世界になる

  • 城山が殺される動機の意外性:天罰?

  • 城山の本性に関連する描写が過激すぎる恐怖

  • 人に求められず、人を求めない存在(静香)が音楽をもたらす

  • 命の所在:頭か心臓か

  • 100%現実離れしているのに、なぜか常に納得しながら読み進められる

  • 自分がいることで事件が起きるのではないか、いなくなることで島は平和になる?

  • バレるとわかっていながら(優午警察or桜)この島で罪を犯すのはなぜ

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

SPIEL'19 新作ボードゲームレビュー

今回は2019年10月後半~11月にかけて遊ぶことのできたエッセン新作を5ゲームレビューします!

◎前回はこちら。

twocars.hatenablog.com

シュピール SPIEL」とは

毎年10月にドイツ北西部のエッセンで開催される、ボードゲームイベント『Internationale Spieltage SPIEL (エッセン国際ボードゲーム祭)』のこと。毎年大量の新作ボードゲームが発表されたり、これまでの旧作やレアな絶版作品なども売られるようです。今年は10/24~27の4日間開かれ、来場者数は20万人を超えたそうです!いつか行ってみたい!!

そんなエッセンシュピールで発売されたボードゲームをいくつか遊びましたのでレビューします!

◎レビュー
遊んだ順です。"タイトル (人数、点数、ある場合はプレイヤーカラー)"で表記します。
複数枚の写真があることもありますので、気になる方はリンク(Instagram)を見てみてください。

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シャトー Chartae (2人、7)

ライナー・クニツィアという有名なボードゲーム作家の作品。2人用ゲームで、たった9枚のタイルからなる。海陣営と陸陣営に分かれ、9枚のタイルを並べ終わった時につながっているタイルの枚数が多い方が勝ち。
一度配置したタイルは移動できないが回転はできる、といったルールも考えどころがあり、また3×3の配置制限から、中央のタイルをめぐる探りあいもありなかなか楽しかった。かなり地味。

シャトー Chartae

イッツアワンダフルワールド (5人、6)

カードドラフトによるデッキ構築+拡大再生産。資源を得られるタイミングを感覚的に飲み込むのが大変だった。他人との絡みはカードドラフトと生産量マジョリティ部分。初プレイで周りを見る余裕がなかったのもあり、ソロプレイ感を感じた。ゲーム終了時に色々カードを残して無駄にしてしまうのを恐れるあまり、最後半ラウンドぐらい無沙汰になってしまった笑 キャラクターは色々あるが、個性あるキャラを選んだ方が指針が立ちやすくて遊びやすそうだと感じた。

ゲーム名忘れ

ポルト Porto (3人、8)

ポルトの町に建物を建設していき、勝利点を競う。自手番でできることはカードを引くか出すかの2択のみ、という簡単さながら、それぞれのプレイヤーが勝利点のためにめちゃめちゃ探り合いをするのが楽しい。手持ちのカードも膨らみすぎることはなく、取れる札は場札からのみなので相手の手札もある程度見立てがつくのも悩みどころ。早く置くと建物の種類(色)が決められる一方で、建設による得点が自身が置いたものだけでなく、その下の建物数+隣接建物数ということで遅く置いた方が点数を取りやすいというジレンマに痺れた!!何度か遊んでみたい。見た目が美しいのも最高。

ポルト Porto

雅 Miyabi (4人、6)

タイル配置。共通ストックからタイルを獲得、個人ボードに配置して勝利点を獲得、というよくある流れながら、配置制限が絶妙、また最終得点に関わるマジョリティ争いで思考性が抜群だった。

Miyabi

アルバリ Alubari (4人、6)

お茶がテーマのワーカープレースメント。基本的に1ラウンドで2つのワーカーしか使えない窮屈さが楽しい。その分1手番甘い行動をすると周りにあっという間に差をつけられてしまい、今回それになってしまった... 中終盤頑張ったものの圧倒的最下位でつらい。けど面白かったのでまた遊びたいなあ。

アルバリ Alubari


新作は日本語ルールが付いていないのもあったりして遊ぶハードルが高め。
今週末にはゲームマーケットを控えてまた新作が遊べるといいなあ、と思いつつも数年前の良ゲームも繰り返し遊びたい。ああ時間が足りない。

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2019年10月に遊んだボードゲームレビュー

今回は2019年10月編。10月に遊んだボードゲーム15ゲームをレビューします。
エッセン新作が3ゲームあるので、今回はそれらを除いた12ゲーム。

◎前回はこちら。

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◎10月のベストゲームは・・・
『ルイス・クラーク探検隊』

ルイス・クラーク探検隊 Lewis & Clark

◎レビュー
遊んだ順です。"タイトル (人数、点数、ある場合はプレイヤーカラー)"で表記します。
複数枚の写真があることもありますので、気になる方はリンク(Instagram)を見てみてください。

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ノイシュバンシュタイン城 Castles of Mad King Ludwig (3人、7)

タイル配置+変則競り(値付け)の2時間ゲーム。いいタイルを安く買われたくないけど、高くつけると買ってくれなくて金欠になる絶妙なバランス感覚が肝。個人的にはゲーム中得点、全体目標(公開)、個人目標(非公開)の得点のバランスが好み。 ゲーム終了時に完成したお城の間取りであーだこーだ笑えるのも楽しいポイント!

ノイシュバンシュタイン城

ミシシッピクイーン Mississippi Queen (4人、7)

条件達成付きレースゲーム。蒸気船を動かしながら途中の浮島にいる女性を2人乗せた後ゴールを目指す。方向転換や速度変化には石炭が必要だが、石炭の利用は計画的にやらないと座礁してしまう。同じレースゲームのエルドラドとは異なり、ゲーム進行に応じて先のマップが現れる。そういう意味で、中盤まで2番手3番手にしゃがみ、最後差しに行くプレイングが有効な気がする。女性を乗せるためには減速が必須(これが結構難しい)なのも面白い。4,5人で途中石炭が補給できるようにすると、ダイナミックなプレイングもできてメリハリがでそう。おすすめ。

ミシシッピクイーン Mississippi Queen

(写真4枚)

エマラの王冠 (3人、6)

ルールは比較的シンプルなワーカープレースメント。カードを出し、ワーカーを動かしてアクションを行う、を18回。それも3アクション×6ラウンドなので比較的わかりやすい。しかし、実際はアクション同士の絡みが複雑かつ、ワーカーの移動にもかなり制約があって脳汁が噴きでる展開。アクションも早取りしないと利益が減っていくので焦らされたり、他プレイヤーとの絡みも十分で楽しいゲームだった。

エマラの王冠

(写真4枚)

トピアリー Topiary (2人、7)

色々な種類のトピアリーを作りながら、最終的に"見える"トピアリーが点数に変わっていく。中央の庭エリアの外側にコマを置いて、そこから高さで評価されるシステムが面白かった。手軽に駆け引きが楽しめ、どうしてもめくり運はあるが、手札が3枚あるのでうまく軽減されていると感じた。

トピアリー Topiary

アルルの丘 Arler Erde (2人、6)

2人専用重ゲー。2回やったが、どちらも2時間ぐらいかかった。(どちらもインスト込み) セットアップが面倒だが、始まってしまえばシンプルなワーカープレースメントで遊びやすい。毎ラウンドとれるアクションが交互に入れ替わるのが面白く、9ラウンド36アクションもあるので、思ったよりやりたいことができた。堤防の拡大や旅行タイルの存在など、考えるところが多い。全体通して面白かったが、遊ぶまでの時間がかかりすぎるのと、服や織物に関するアクションが弱く感じたのが残念。

アルルの丘 Arler Erde

(写真3枚)

グレンモアII Glen More II (4人、6)

タイル配置。1枚のタイルが何回も効果を及ぼすのが不思議な感覚だった。毎ラウンド終了時の得点計算が独特で、一度遅れをとると追いつきづらい仕様が辛かった(それがいい)。タイル配置なのに、最終的にはタイル配置数が少ない方がアドになるのは、ゲームスピードを速める点でいいと思ったが、ちょっとそのアドが大きすぎるかな、とも感じた。

グレンモアII Glen More II

ドリームファクトリー Dream Factory (4人、8)

映画のプロデューサーとなり、監督、演者、機材等をひたすら競る。めっちゃ簡単に競りが楽しめる。周りを見る必要も最低限で、しかも自分が競り落とさなければ、多くの場合自分にお金が入ってくる(競られた金額が人数割りで配られる)ので、全つっぱ的な無茶が許されやすいのがとても楽しかった。良い演者や良い機材にこだわるもよし、数打ちゃ当たるで駄作を積み重ねるも良し。僕は後者で5本の駄作を作り上げ確か2位?タイルも実在する俳優、監督なのでそのあたりのフレーバーが分かればより楽しいかも。

ドリームファクトリー Dream Factory

エラ:剣と信仰の時代 Era: Medieval Age (4人、6)

コンポーネントが良い。その時のプレイヤーによってゲームの雰囲気が多く変わりそう。僕はダイスを最後まで5つで終えたのもありサクッと終わったが、別のところでERAが遊ばれているのを見たときは全員ダイスを増やして焦土まみれになっていた笑 見た目の出来とスコアの雰囲気が一致しないので、結果発表で"おっ"となる。ダイス目次第なところもあって他プレイヤーに干渉しづらいのが好みから外れる。

ERA

フタリマチ (2人、5)

それぞれがそれぞれの街を作るためにカードを出しあい、街のもつパラメータ比較で勝負が決まる。建物の建設コストが川や道に接すると減っていくシステムは面白かったが、それでも自手番でできることがかなり窮屈。即勝利になる条件含め、どうしようもない場面が多かったと感じてしまった。

フタリマチ

シティオブローマ City of Rome (3人、8)

手番順に応じて得られる資源が異なり、その決まり方が毎回変わるところが面白かった。ゲーム自体はタイル配置なのでサクサク進む。単純なタイルから得られる点数の他に、特殊カードなどから得られる★のマジョリティ争いがあったりとしっかり考えどころがあって良かった。地味すぎるところが残念だが、3人で遊ぶならまた遊びたいと感じた。

シティオブローマ City of Rome

マハラジャ Maharaja (2人、7)

2人用のカードを使うセットコレクションのゲーム。カード価格の減少と収入が同じ行動でなされるため、先読みしやすくて良かった。それぞれの色について、1枚しかもっていないと点数にならない所、セットコレクションボーナスを得るために買ったカードを捨てなくてはいけない所がうまくかみ合っていて、めくり運がありながらもうまく戦略が考えられた。ボーナスを軽視して惨敗したが、また遊びたいゲームだった。

マハラジャ Maharaja

ルイス・クラーク探検隊 Lewis & Clark (2人、8)

アメリカ西部開拓をテーマにしたレースゲーム。カード効果+ワーカープレースメント。カードをそのままの効果として使うか他のカードを使うコストとして使うかの2択が悩ましい。カードは全部ユニークなのだが、相手がどのカードを取ったのかは把握できる(すべて覚えることはできないが)ので、理不尽感を感じなくてGood。2人でも十分楽しいが、3人がベストかな、と感じた。

ルイス・クラーク探検隊 Lewis & Clark


次回はエッセン新作をいくつか紹介したいと思います!

https://twocars.hatenablog.com/entry/boardgame2019spieltwocars.hatenablog.com

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